痛くないインフルエンザワクチン「フルミスト」について

みなさんこんにちは。

昨シーズン、インフルエンザワクチンを接種されましたか?
2024/25シーズンはインフルエンザA型の流行が年末年始にピークとなりました。感染で楽しみにしていたイベントを諦めた方、具合が悪かったのに医療機関への受診が困難だった方、親戚の集まりで高齢者に移してしまいヒヤリとした方などもいたのではないでしょうか。2023年以降日本でも毎年インフルエンザの大きな流行が見られており、今年も例外ではないものと想定されます。小児のインフルエンザワクチン接種には、発症予防効果入院減少効果欠席期間短縮効果が報告されており、日本小児科学会では生後6か月以上のすべての小児にインフルエンザワクチン接種を推奨しています。

当院では2025年秋からのインフルエンザワクチン接種の準備に取りかかっています。今年は従来型のワクチンに加え、針を使わず痛くないインフルエンザワクチン「フルミスト」を用意したいと考えています。

このページの一番下には接種希望についての事前アンケートがあります。予約開始時の優先案内もありますので、内容をよく確認のうえご検討ください。

インフルエンザワクチン「フルミスト」とは

フルミストは経鼻弱毒生インフルエンザワクチンです。皮下注射で投与する従来の不活化インフルエンザワクチンと違い、針を使わず鼻に薬液を噴霧する製剤です。欧米では20年以上前から使用実績があり、日本では2024年から2歳以上19歳未満の方を対象に正式に認可されました。国内外での調査から、インフルエンザの発症予防効果は30%程度と報告されており、これは従来の不活化ワクチンと同等と考えられています。

※ YouTubeのニュース動画にリンクします

\ こんな方におすすめ! /

  • 痛くないワクチンがいい!
  • 通院回数を減らしたい!
  • 効果が長く続くワクチンを選びたい!

注射じゃないから痛くない

フルミストは鼻に投与するワクチンです。左右の鼻の穴に薬液を0.1mlずつ噴霧して終了です。注射ではないので針を刺す痛みがありません。鼻に液体を入れるというとしみるのではないかと心配される方もいると思いますが、粘膜に刺激がないように成分が調整されているので、ほとんど痛くありません。

ただし、「鼻に何か入れられる」ことに対する不安は避けられません。動いてしまいそうな小さなお子さんでは、接種の際にご家族とスタッフで体と頭を押さえる必要があります。

13歳未満のお子さんでも1回の受診で済みます

従来の不活化ワクチンでは13歳未満のお子さんは2回の接種が必要です。一方、フルミストは接種可能なすべてのお子さんが1回の受診で済みます。学校の都合やご家族の仕事の都合で何度も病院に来るのが難しい方にもおすすめです。

より長い効果が期待できます

従来型のワクチンは数ヶ月で効果が減弱するのに対し、フルミストは1回の接種で約1年間予防効果が維持されると報告されています。2023年は秋から始まった流行が12月まで続きました。2024年は年末に大きな流行があった後、春先まで複数の学校で散発的な学級閉鎖が見られました。このように近年はインフルエンザの流行パターンが多様になり、時期を狙ったワクチン接種が難しくなってきています。【子どもの重症化をなるべく防ぎたい】、【受験勉強ラストスパートの冬から受験本番までしっかりワクチンの効果を効かせたい】、【部活のレギュラー定着に向け長いインフルエンザシーズンを万全の態勢で乗り切りたい】、【高齢者がいる家庭にインフルエンザを持ち込むのをなるべく避けたい】このような方にぴったりのワクチンです。

フルミストの注意点

メリットの多いフルミストですが、副反応や料金など注意が必要な点もあります。また、接種が適さない方もいますので十分確認してください。

接種費用・助成について

今シーズンのフルミスト接種料金は未定です。

昨シーズンの動向としては、全国的に9000円程度に設定した施設が多かったようです。今シーズンも大幅な増減はないのではと見込んでいます。自治体からの接種助成についてもまだ未定です。北上市の場合、昨年は12歳までのお子さんに費用助成がありました。従来型ワクチンは2回の接種それぞれに1750円の補助でしたが、フルミストに対しては1回の接種に1750円が補助されました。12歳以下、13歳以上いずれの場合でもフルミストでは自己負担が多くなりますのでご留意ください。

副反応について

弱毒化したインフルエンザウイルスを利用するフルミストでは、接種された方の30-40%に鼻水、鼻づまりの症状がでると報告されています。時に微熱を伴い、まるで「軽いインフルエンザ」の様な症状となることもあります。これらの症状は1週間以内に自然と改善するものであり、特別な対応は不要です。この時期にインフルエンザの検査をすると陽性と出てしまう可能性があるため、医療機関を受診する場合にはフルミストを接種した旨をお伝えください。

フルミストを接種できない方 【接種禁忌者】

以下に該当する方はフルミストを接種することができません。

  • 2歳未満、19歳以上の方 (2歳〜18歳の方が接種対象です)
  • 妊娠中の方
  • 免疫不全症と診断されている方・免疫抑制薬を服用中の方

フルミストの接種に注意が必要な方

以下に該当する方はフルミストの接種にあたり十分な注意が必要とされています。

気管支喘息で治療中の方、喘息発作の経験がある方

接種による喘息発作を引き起こす可能性があるため注意が必要です。ただし、過去に喘息気味と言われただけの方や、定期的な治療により症状が十分コントロールされている方は過剰な制限は不要です。

アスピリンを内服中の方

アスピリン内服とインフルエンザ感染によりライ症候群という合併症の可能性があるためです。川崎病や心疾患でアスピリン内服中の方は主治医にご確認ください。

ゼラチンアレルギーと診断された方

フルミストの製剤にゼラチン成分を含むためです。ゼラチン以外のアレルギー患者さんが一律に接種を制限されるものではありません。

免疫不全症患者さんと一緒にお住まいの方

フルミスト接種者から周囲の方へ弱毒化インフルエンザウイルスの水平伝播の可能性があるためです。

上記に該当する方は原則として従来型の不活化ワクチン接種をおすすめします。接種の可否についての具体的な相談は、正式な予約受付開始後に当院までお問い合わせください。

「フルミスト」接種希望アンケートにご協力ください

接種希望アンケートは終了しました。接種を希望される方は予約開始時に予定している当院からの通知、または最新のお知らせをご確認ください。

このホームページを運営している人

北上こども医院院長。日本専門医機構認定小児科専門医、医学博士。地域の皆様に信頼される小児科かかりつけ医を目指し、子どもたちの健康と安全を守るための情報を発信しています。