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百日咳の流行が続いています ー当院で三種混合ワクチンを接種できますー

みなさんこんにちは。
ニュース等でご存じの方も多いと思いますが、今年に入り日本全国で百日咳の流行が続いています。岩手県も例外でなく、当院でも検査で陽性となる患者さんが続いています。

百日咳の予防にはワクチンの追加接種が大切です。当院では百日咳の本格的な流行が始まる前の開院当初から、三種混合ワクチン追加接種についての情報をホームページに掲載し、接種希望者を積極的に受け入れてきました。
百日咳とは
百日咳とは、百日咳菌による感染症です。主な感染経路は飛沫感染で、潜伏期間は7〜10日程度です。
ワクチン接種歴や年齢により症状の幅が大きいものの、典型的には風邪症状で始まり徐々に咳が強くなる【カタル期】、短い咳が連続的に起こり最後に大きく息を吸う特徴的な咳発作を認める【痙咳期】、発作的な咳が残りつつ徐々に症状が改善する【回復期】という経過をたどります。実際に「百日」症状が続くことはまれですが、1か月以上咳が残り日常生活に支障を来すことも多いです。
また、予防接種を受ける前の新生児に感染すると重症化しやすいことが知られており、国内からも立て続けに死亡例が報告されています。
抗生物質による治療が行われますが、今年流行している百日咳菌では標準的に使用される抗生物質(マクロライド系)が効きにくい「耐性菌」の割合が多いことが報告されています。
百日咳は予防が重要!
このように治療に難渋しやすく症状の長期化や重症化のリスクがある百日咳では、ワクチンによる予防が効果的です。

これは百日咳の年齢別感染者数の報告です。感染者数の分布に二つのピークがみられます。一つは0歳で、グラフでは赤で示される割合が多いことがわかります。もう一つは6歳から14歳の小中学生年代です。
百日咳のワクチンは乳幼児期に接種する五種混合(以前は四種混合・三種混合)ワクチンに含まれています。標準的なスケジュールでは生後2か月から開始され、1歳での4回目の接種で終了します。そのため、初回の五種混合ワクチン開始前の生後2か月までの赤ちゃんが最も感染リスクが高いと言われており、この月齢は感染した場合に重症化するリスクが高い時期に一致します。また、ワクチンの効果はすぐに消えるわけではありませんが、時間経過とともに減弱することが知られています。このため小学生以降で感染者が増加します。大人もワクチンの効果は低下しているものの、子どもに比べると感染時の症状が軽く済むため、正確に診断されていない患者さんが多いものと思われます。
※30代から40代に小さな山があるように見えるのは、子どもの診断をきっかけに親世代の患者さんが診断されるからかもしれません。
これらの情報から考えられることは、お兄ちゃん・お姉ちゃんに感染した百日咳が、ワクチン接種前の赤ちゃんにうつってしまう可能性です。百日咳の初期症状は他の風邪と区別することが困難なため、家庭内での感染予防対策には限界があります。ワクチン接種が始まる前の赤ちゃんを百日咳から守るためには、一緒に生活する家族がワクチンを接種し百日咳を家庭に持ち込まないことが重要です。
家庭内感染の問題だけでなく、小中学生年代であっても感染によって本人の生活に大きな影響が出ることもあります。
- 咳発作によって食事がとれなくなり、入院が必要となった
- 夜間の咳で安眠できず、学校生活に支障がでる
- 咳のせいで大事な大会や受験に集中できなかった
このような点をふまえ、日本小児科学会では百日咳の予防を目的としたワクチンの追加接種を推奨しています。具体的な方法として、百日咳ワクチンが含まれる「3種混合ワクチン」を、「小学校入学前の1年間」(年長さんの学年)と「11-12歳」の計2回追加接種することを提案しています。これらの追加接種は「任意接種」となり、接種料金は自己負担となります。
- 生後2か月を過ぎたら速やかに定期予防接種を開始し、スケジュール通り予防接種を進めましょう
- 小学校入学前、中学校入学前に三種混合ワクチンの追加接種を行いましょう
- 定期予防接種開始前の新生児を守るため、家族の追加接種を検討しましょう
三種混合ワクチンの接種はぜひ当院で!
当院では三種混合ワクチン「トリビック」を用意しています。接種料金は5000円です。
小児科学会の推奨では具体的な接種タイミングとして、次のような方法を提案しています。
- 小学校入学前の麻疹風疹ワクチンと一緒に
- 中学校入学前の二種混合ワクチンの代わりに3種混合ワクチンを
しかし現在の流行状況をふまえると、当院としてはこのタイミングにこだわる必要はなく追加接種の時期を柔軟に判断して良いものと考えています。
接種を希望される方は電話でお問い合わせください
百日咳の流行でワクチンの需要が増加していることから、三種混合ワクチンの流通が全国的に不安定な状況です。当院では在庫を確保していますが、希望者が多い場合には接種をお待ちいただく可能性があります。
三種混合ワクチンの出荷が制限されている現状を踏まえ、「予防接種推進専門協議会」からは以下の対応が提言が出されています。
- 五種混合ワクチンの定期接種対象者は、生後2か月から遅滞なくワクチン接種を行うこと。
- 妊婦が三種混合ワクチン接種を希望する場合には、地域内での供給調整を図ること。
- 就学前の幼児、学童、医療関係者等への三種混合ワクチン追加接種については、新生児との接触頻度の高いものを優先対象とし、供給状況を踏まえて段階的に実施を検討すること。
当院では、5歳(年長さん)以上の希望するすべての方にワクチン接種ができる体制を目指しますが、ワクチンの供給数を希望者数が大幅に上回った場合、妊娠中の方とその家族の接種を優先させていただく可能性があることをご了承ください。
三種混合ワクチンの予約は在庫を確認したうえでの予約調整が必要なため、接種を希望される方は診療時間内に当院まで電話でお問い合わせください。(電話番号はページ下部にあります)
妊娠中の方で接種を希望される方は、当院への電話の前に「必ず」産科主治医から接種の可否を確認するようお願いします。
定期接種としての五種混合ワクチンは通常のWEB予約でお申し込みください。
三種混合ワクチン、四種混合ワクチンの定期接種がスケジュール通りに終わっていない方は、問い合わせ時にお申し出ください。