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「膨らむボール」にご注意を!みなさんの周りにはありませんか?

みなさんこんにちは。
当院は1月6日で開院から1年を迎えました。慣れない運営でご迷惑をおかけしたかと思いますが、これまで以上に誠実で的確で思いやりのある医療を提供できるよう、スタッフ一同取り組んでまいります。
これまでホームページの「お知らせ」やLINEの一斉配信は事務的な連絡が中心でした。
これからは子ども達の安全や健康に関する情報も発信していきたいと考えています。
皆さんは「傷害速報」をご存じですか?小児医療の現場では「まさか」と思うような様々な事故に遭遇します。こうした事例を全国で共有することで再発防止につなげようと、日本小児科学会が一般の方向けに発信している情報です。院長の印象に残った事例を中心に、皆さんと共有する機会を作りたいと考えました。
今回は、「水で膨らむボール」が原因の怖い事故についての報告です。
傷害速報 No.109 膨らむボールによる腸閉塞
事故の概要
- 年齢
-
11 か月
- 発生状況
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100円ショップで購入した高吸水性樹脂球(水で膨らむボール)を使って自宅浴槽内で遊んでいた。
複数個を同時に使用したが、ボールの個数は確認していなかった。
同日深夜に腹痛、嘔吐が出現し救急外来を受診した。吐物にボールの破片が混ざっていた。 - 経過
-
レントゲンやCT検査で腸閉塞の所見を認めたものの画像に異物は確認できず、原因の同定はできなかった。
緊急開腹手術を実施したところ、異物がつまって拡張した小腸が観察された。異物を大腸まで押し進め、手術を終了した。
手術翌日に膨らんだボールが自然排泄された。
こどもの生活環境改善委員会からのコメント
今回の症例のようなボール状の商品は,園芸,芳香剤,玩具としても販売されている.元のサイズは直径 1~20 mm であるが,吸水すると 5~400 倍にも膨らむため,カラフルな外観と合わせて子どもから大人までその変化を楽しむことができ,また100円ショップや通信販売で容易に入手することができるため,国内外で広く使用されている.
日本小児科学会 傷害速報
本製品の誤飲では,腸管内溶液を吸収していく過程で膨張が進行し,機械的腸閉塞をきたして緊急手術が必要になる危険性が高い.
また,該当製品は,X 線透過性であり,かつ腸管内腔を充填する球形で拡張腸管との区別もつきにくく,腸管内腔の腸液と CT 値が変わらないことから,CT 検査などの放射線検査でも判別が難しい.
日本小児科学会 傷害速報
製品として規制を検討し,対象年齢を変更する,子どもの興味を引きにくい目立ちにくい色にする,浴室で使用しない,膨らんだ後も子どもの咽頭を通過できないサイズにする,製品の表面に苦味成分を塗布する,腸閉塞の危険性について記載する,などの具体的な予防策が求められる.
日本小児科学会 傷害速報
院長からひとこと
子どもの異物誤飲について、「大きさ」だけの問題であれば、多くの場合「飲み込むことができたもの」はそのまま便とともに排泄されます。今回のような「膨らむボール」の怖さは、「はじめは赤ちゃんでも飲み込める大きさで、飲み込んだ後に大きく膨らんで詰まらせる」点です。
さらに、
- 同時に複数個で遊んでいることが多く、飲み込んで数が減ったこと自体に気付かれにくい
- 飲み込んでからしばらく時間がたってから症状が現れるため、原因として認識されにくい
- 画像検査で捉えにくいため、事前情報がないと診断が困難
といった特徴から、診断から治療まで非常に難渋するであろうと思われます。
2023年12月にはアメリカから同様の商品の販売について自主規制が進んでいることが報道されました。日本でも何らかの対応が望まれます。各家庭においては、子どものおもちゃとしては購入しない、生活に必要なものについては子どもの手が届くところに保管しないといった対応を徹底し、今一度「水で膨らむボール」が子どもたちの周りにないかご確認ください。


